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家族信託とは? 認知症による「資産凍結」を防ぐ新しい財産管理~仕組み・事例・費用をわかりやすく解説~

  • 執筆者の写真: Koji TOMITA
    Koji TOMITA
  • 2 日前
  • 読了時間: 6分

更新日:15 時間前

「親が認知症になったら、実家は売れなくなるって本当?」 「銀行の窓口で、家族なのに親の預金をおろせなかった」


こうしたご相談が、当事務所にも年々増えています。高齢者のおよそ5人に1人が認知症になる時代。判断能力が低下すると、ご本人の預金も不動産も原則動かせなくなる――いわゆる資産の凍結が、ごく普通のご家庭で現実に起きています。

この資産凍結への備えとして、いま急速に広まっているのが**家族信託(民事信託)**です。この記事では、相続・終活支援を専門とする行政書士が、家族信託の仕組みから具体的な活用事例、始め方、費用の考え方までをわかりやすく解説します。



家族信託とは――登場人物は3人だけ


家族信託とは、ひとことで言うと**「信頼できる家族に、財産の管理や処分を託しておく契約」**です。


登場人物は3人です。

  • 委託者……財産を託す人(例:お母様)

  • 受託者……託されて管理する人(例:長男)

  • 受益者……財産から利益を受ける人(例:お母様自身)


ポイントは、委託者と受益者を同じ人にできることです。お母様が自宅と預金の一部を長男に信託し、受益者もお母様自身とすれば、管理の権限は長男に移りますが、財産から生まれる利益はすべてお母様のために使われます。長男のものになるわけではありませんし、この形であれば原則として贈与税の問題も生じません(税務の個別判断は税理士の専門分野となりますので、当事務所では提携税理士と連携して対応しています)。



なぜ必要?――認知症による「資産凍結」の現実


家族信託が注目される最大の理由が、認知症対策です。

判断能力が低下すると、次のようなことが起きます。


  • 銀行窓口で「ご本人の意思確認ができない」と、家族でも預金をおろせない

  • 施設費用にあてるための自宅の売却契約が結べない

  • アパートの賃貸借契約や大規模修繕の決断ができない


こうなってから使える制度は成年後見(法定後見)ですが、後見人を選ぶのは家庭裁判所であり、弁護士や司法書士などの専門職が選任されて毎月報酬が発生し続けるケースも少なくありません。しかも一度始まると、原則ご本人が亡くなるまでやめられません。

元気なうちに家族信託を組んでおけば、判断能力が低下した後も、受託者の判断で財産を動かし続けられます。「凍結してから対処する」のではなく「凍結そのものを防ぐ」のが家族信託です。



活用事例3つ


事例1 実家と預金を長男に信託

80歳のお母様が、自宅と預金の一部を長男に信託(委託者・受益者=お母様、受託者=長男)。その後お母様が認知症になっても、長男の判断で自宅を売却して施設費用にあてたり、信託した預金から生活費を出したりできます。売却代金も預金も、すべてお母様のために使われます。


事例2 賃貸アパートのオーナー

大家さんが認知症になると、新規の入居契約、修繕の発注、建て替えの決断がすべて止まります。アパートを息子さんに信託しておけば、経営のバトンを実質的に渡しながら、家賃収入はこれまでどおりご自分(受益者)が受け取ることができます。


事例3 障がいのあるお子さんの「親なき後」

「私たちが先に逝った後、この子の生活費は誰が管理してくれるのか」。長女に財産を託し、「私の死後は、この財産から弟の生活費を毎月渡す」と契約に定めておく――一度に大金を渡すのではなく、長期間にわたって確実に届け続けられるのは、信託ならではの強みです。



任意後見・遺言との違い


家族信託は万能ではありません。役割の違いを整理します。


家族信託

任意後見

遺言

主な役割

財産の管理・処分(生前〜死後)

身の回りの契約・手続きを含む本人保護

死後の財産の行き先の指定

裁判所の関与

なし(契約で自由に設計)

発効後は任意後見監督人がチェック

なし

施設入所などの契約

できない

できる

二代先の承継指定

できる(例:私→妻→長男)

できない

家族信託は、信託した財産の管理・処分には強い一方、施設入所の手続きや介護サービスの契約といった「身の回りのこと」はカバーできません。また、信託していない財産には効力が及びません。そのため実務では、家族信託+遺言+任意後見を組み合わせて設計するのが基本です。

なお、農地は信託が難しい、年金の受取口座そのものは信託できない、といった限界もあります。



家族信託の始め方――5つのステップ


  1. 家族会議 ―― 実は、ここが一番大事です。託す人・託される人はもちろん、託されない他のごきょうだいにも説明し、納得してもらう。ここを飛ばすと、後で必ずもめます。

  2. 設計 ―― どの財産を、誰に、何の目的で、いつまで託すか。専門家と一緒に契約内容を組み立てます。

  3. 公正証書で契約 ―― 公証役場で信託契約書を作成します。

  4. 信託登記 ―― 不動産を信託する場合は法務局で登記が必要です(登記申請は司法書士の業務のため、当事務所では提携司法書士と共同で対応します)。

  5. 信託口口座の開設 ―― 信託専用の口座を金融機関で開設し、お金を移してスタートです。



費用の考え方


家族信託には、契約書を公正証書にする費用、不動産の信託登記の費用、専門家の設計報酬などがかかります。財産の規模や設計内容によって変わりますが、まとまった初期費用型となります。

一方、成年後見で専門職後見人が就いた場合は、毎月の報酬が亡くなるまで続く月払い型です。「初期費用は掛かるが、その後のランニングコストを抑えられる信託」と「初期費用は小さいが、費用が続く後見」――トータルでどちらが合うか、という視点で比較検討される方が多いです。当事務所では、具体的なお見積りは、財産の内容を伺ったうえで、個別にご提示しています。



よくあるご質問


Q. 受託者に財産を取り込まれないか心配です。

A. 受託者には、受益者のためだけに管理する義務、自分の財産と分けて管理する義務、帳簿をつける義務が法律で課されています。さらに契約で、受託者を監督する「信託監督人」を置くこともできます。ご心配な点は設計段階で手当てできます。


Q. 家族信託をすれば、遺言は不要ですか?

A. いいえ。信託契約で決められるのは信託した財産の行き先までで、信託していない財産には及びません。信託と遺言の併用が基本です。


Q. すでに軽い物忘れがあるのですが、間に合いますか?

A. 家族信託は、契約内容を理解できる判断能力があるうちにしか結べません。程度によっては可能な場合もありますので、迷われたら早めにご相談ください。「元気な今」が、一番の始めどきです。



まとめ――「元気なうち」にしかできない備え


  • 家族信託は、認知症による資産凍結を防ぐ、財産管理の新しい選択肢

  • 実家・アパートなどの不動産をお持ちの方、親なき後に備えたい方、二代先まで承継先を決めたい方に特に有効

  • 万能ではないため、遺言・任意後見との組み合わせ設計が基本

  • 成功のカギは「家族会議」と、判断能力があるうちの早めの着手


当事務所では、家族信託の設計から公正証書化、提携司法書士・税理士との連携まで、ワンストップでお手伝いしています。佐賀県・福岡県・長崎県を中心に、ご自宅への出張相談も承ります。


「うちの場合はどうだろう?」と思われた方は、ぜひ初回相談(無料)をご利用ください。皆さまのミライへ向けたご安心のための「相続ミライ計画」をご提供いたします。





 
 
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